「おだやかな革命」という映画は、今度うちの集落に移住してくることになった Mu さんから上映会を紹介されて、それじゃあ、ちょっと観てみるか、となったものだ。
今日、隣の市のコミュニティ・ホールで、有志による無料の映画会が開催された。4本上映されたうちの、最後の一つが「おだやかな革命」だった。Mu さん夫妻もこの催しの運営に関わっていたようで、受付に行ったら「わぁ、区長さん、良く来て下さいました」と歓迎された。
会場に入ると、普通の座席は前の方3分の1ぐらいだけで、後の3分の2は、何の仕切りも無い平土間で、若い人たちが敷物をしいて
幼児を世話しながら胡座をかいて座っていた。
おお、良いな、と思った。
私としたら「ふん、意識高い系の若い人たちね」ということを思っても不思議ではないところなのだけれど、そうは思わなかった。何でなんだろうね。
昨日の集落役員会で、移住してくる Mu さんが友人と共に建てようとしている新居の図面と説明書をみんなに見せた。
うちの集落には「景観形成等住民協定」とかいうもの(正式な名称は良く知らない)があって、それに違背する建物は認めません、それに相応しい建物であれば新築や修繕の費用をいくらか補助します、ということになっている。お金は集落からは出ない。集落住民が後押しをし、県の役人も認めれば、県から補助金が出る。
こういう協定の多くは都市部の伝統的な町並みを保存しようとするためのものが多いのだが、うちの集落では、石積みの棚田の景観に歴史的な意味を認めて、それを保存するための協定となっている。
Mu さんも、その友人で建築士の On さんも、そのへんの事情は知っているはずで、だからこそ、補助金申請のために必要な書類として、新築する家の設計図とそのコンセプトの説明書を作成した訳であり、それを集落自治会長である区長の私に持ってきたのだ。
それは、映画「おだやかな革命」で提示されている「自給自足できる田舎」を実現しようとする家なのだ。
役員会での反応は薄かったけれど、最初はそんなもんでしょう。私一人が前のめりになっても仕方が無い。
けれど、そういう動きをする若い人にしか希望は無いと考えている。