文学フリマでいつもの私とはちょっと毛色の違う、芸人さんによる作品集を買ったのは収録されている自由律俳句に興味を持ったからだ。
詩による表現の味わいがもともと好きではあった。特に好きなのは三好達治。あはれ花びら流れ…で始まる『甃のうへ』を最近に読んだ際には感動で絶句した。
音楽的なるものが好きだからかもしれないが、もちろん詩より更に短い短歌や俳句も好きだ。言葉を尽くした文とは異なる美があり、想像をかきたてられる。
最近読んでいる現代歌集で面白いと思ったのは、田中有芽子歌集『私は日本狼アレルギーかもしれないがもう分からない』(左右社)。タイトルは実際の書籍では画像のように改行されており、表紙と扉では異なる適用になっている。
歌はあいうえお順にならんでいる。日常の中の光景をちょっと違うレンズを通して見ている気分になる。赤青眼鏡でアナグリフの地形図を見たときのように、急に文字が立体的情景として浮かび上がるように思えるものもある。