勝海舟の父で不良旗本・剣客だった勝小吉の自伝『夢酔独言』は、軽妙な語り口などがかなり面白く、ときどき読み返している。

身持ちの悪さから、天保の改革の際についに42歳で隠居謹慎になり、子孫への戒めとして残した話。

幼少期の回想は、
「おれほどの馬鹿な者は世の中にもあんまり有るまいとおもう(中略)よくよく不法もの、馬鹿者のいましめにするがいいぜ」
から始まる。
(中央公論社『日本の名著第32巻』勝海舟 収録)

さっきYouTubeを開いたら、どういうアルゴリズムの結果か分からないが、おすすめに外国人がこれを"mediocre samurai"による当時の暮らしの描写として紹介している朗読動画が出てきて笑った。

無役だったからmediocreとしたのだろうが、コメントを見ると彼の生涯は全くmediocre(平々凡々)じゃないとか、小さい頃の出奔からの話が日本版ハックルベリー・フィンのようだとか、別の意味での感想も見受けられた。
彼が幼少期の冒険をどこまで正確に書きのこしたのかについては疑問だが、剣客としては確かにmediocreではないのだろうと思う。

日本文学の英訳は最近の関心事でもあったので、少し見てみた。英語でもやはり面白かった。

youtu.be/nQY3dbUsVgE?si=V8Y66t

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でも語り口は日本語が断然面白い。英文だとその辺りが伝わってない気がする。

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