イケヴィラのストーリー設定と実際の19世紀英国 

イケヴィラで最も謎なキャラの一人は、主人公だという感じがしてきた。

プロローグで示されるのは、彼女は郵便局に勤務しているということ。これには結構驚いた。

言うまでもなく、ヴィクトリア朝英国では女性が働くことは好ましくなかった。
中流階級であれば働こうとしても家庭教師になるしか道はなかったはずだ。

とすると、彼女は相当下層の階級に属しているということなんだろうか。少なくとも知識階級ではないだろうと推察される。
だとしたら話の中ですんなりヴィランたち上流階級のコミュニティに溶け込めているのはなぜか。相手は話し言葉から何から、全てが違う人間である。

ジョージ・エリオットやブロンテ姉妹など、同時代には当時としては新しい価値観を持つ女性も登場し始めたが、彼女もそういう一人だったのか。

ゲームの設定を史実と比較するのは野暮かもしれないが、同ゲームはヴィクトリア女王と19世紀英国を前面に打ち出しているので奇妙に感じる。海外展開した場合、気になる人は増えそうに思う。

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イケヴィラのストーリー設定と実際の19世紀英国 

この件が気になり、国勢調査の過去文献に当たってみた。単に調べものが好きだということもある。

1851年の国勢調査 Census of England and Wales, 1851.
archive.org/details/censusofgr

これによると、人口は1792万7609人(男
878万1225女914万6384)。話が脱線するが女性の方が約36万強多い。この"女余り"現象は暫く続いたようで、同時代の中産階級の女性には結婚難への恐怖がかなりあったらしい。

公務員の女性は2244人(男性6万4479人)。
うち郵便局は1118人で約半数を占める。ただ残念なことに更なる細分化は見当たらず、階級の別、主人公のように配達に従事した人数は分からない。よって主人公の階級は謎のままだ。
公務員全般における女性の年代別割合は50代が最多となっており、20代は最も少ない。次に少ないのが30代。中高年が多い。

ここから分かるのは、少なくとも19世紀の半ばには行政・公務員の専門職に徐々に女性が進出していたということだ。ヴィクトリア朝といえば、"How victorian"という悪口もあるように古風かつ家庭こそが女性の居場所とされたという話が多いのでこの点は面白かった。

イケヴィラロジャー本編盲愛読了(ネタバレ) 

元医者かつ科学者魂のある人物ということで読むのを楽しみにしていたキャラ。今やっている本編イベント3倍FVに合わせて、ほぼ徹夜で片方のルートを読み終えた。
↓※ネタバレかつ若干辛口

期待の割に、軽くさらっと読み終わってしまった。安定感のあるロジャーに対し、猪突猛進型で幼い感じのある主人公が向かっていくという構図。確かにかわいくはあるが、ロジャーが主人公を気に入る理由としては弱いと思った。

あといつも残念に思うのが、19世紀英国という舞台に対しての甘さが散見されること。職業病かもしれないが、そこに甘さがあると非常に気になってしまう。残念ながらゲームストーリーで校閲不足を感じることは多い。ゲームだから甘くていいとは思わない。本編は特に重要なはず。

昨年のイベの朔望もその一つ(あり得ない月の満ち欠け周期、月の朔望から設定年代ではホームズが出版されていないはずなのに台詞に出てくるなど)。

今回もあった。台詞で出てくる「満腹中枢」は20世紀の発見。この時代に見つかってないことは明らかである。また「神経中枢」という言葉が出てくるが、「中枢神経」の誤りではないだろうか?

取りあえず、もう一つのエンドを読んで総合的に判断したい。エピソードゼロも購入したので、後ほど読む。

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