「君たちはどう生きるか」を観た。異界への入り口においてアニメーションが不意に絵画に変わり、奥行きと動きが削ぎ落とされる。ひとたび平面を介してからまたイリュージョンの現実性が膨らんでいく。

塔でアオサギが姿を現すとき、平面が次第にぷっくりとふくれて立体のすがたを現したけれど、あれは作品の形式的なつくりの部分的な隠喩になっているのだと思う。

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世界としては、冥界下りと作品行為の物語に、胎内回帰願望が結託している。無数の女たちはすべて主人公の母であり、その体を探っていくと大文字の父にめぐりあう、というような。

ぼんやりして寓意のつよい映画だったというようなコメントを事前に聞いていたけれど、ぼんやりしているのはシナリオだけ。物語は明快だし、飽きさせないための展開は詰め込まれていて、筋書きをいい加減にしてもなおエンタメにする手つきに感動した。

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