「星座みたいなもんだよ」

アキトは肩をすくめた。
「星と星との関係性はまったくないんだ。距離もばらばらなんだ。なのにそれを遠くから見ている僕たちが勝手にこぐまみたいだ白鳥みたいだ、と縁付けていく」

小さい頃に泣き虫だった僕がほとんど泣かなくなったのは大人になったからじゃなくて一生の涙のうちのほとんどを幼かった僕が使ってしまったからなのだろう。そう気づいてからが本当の悲しみの始まりだった。その悲しさに流す涙さえないと気づいた時、僕は絶望した。

美術館を出ると老夫婦は足を止め、二人で互いのポートレイトを撮り始めた。
撮られる方は照れ笑いを浮かべ、撮る方は慈しみの笑顔。その間をひとつのカメラが行き来する。木々は少しだけ色づき始めていた。

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