「お前熱があるだろう」
同期に飲みに誘われてる俺にファリアが言った。自覚はなかったがそう言われれば朝からふわふわする感じがあった。そうか、熱があったのかと気がついてしまうと体が不調を訴えだす。
「悪いな、また今度誘ってやってくれ」と同期に詫びを入れつつ俺を部屋まで送ってくれる。
ファリアは俺に着替えてベットに入ってろと言ってから部屋を出るとミルクティーと毛布を持って戻ってきた。俺の部屋は隙間風が入ってきて少し寒いことを知ってるからだろう。
「それを飲んだら、暑いと思っても毛布をかけてすぐに寝ろよ」と母親みたいに世話を焼く。
ここは素直に甘えておこうと、わかったよありがとうおやすみと言うつもりが口からするりと「おやすみのキスは?」と出てしまった。俺たちは気安く額や頭に軽くキスをすることがある。ファリアはどうかわからないが俺は少しの下心を込めてのスキンシップだ。近づいてきたファリアの唇が額に触れる。
いつもより長めで、しっとりとした感触が伝わってきた。リップ音は隣にまで聞こえたのではと錯覚するほどだった。そしてファリアはおやすみと言って部屋を出ていった。俺の熱をさらに上げさせる気なのかと問う暇もない。熱のある俺よりもファリアの唇の方がずっと熱かったと後々まで思うことになった。