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「チーズ牛丼下さい」 

「そんなもんウチにない!」
吹雪く深夜も明かりを灯す寿司屋で腕を組み怒鳴る男。相手はpepper君。どこかの店が悪天候で回収を忘れたのか迷子で徘徊していた所を可哀想に思い連れてきたものの、ずっとこの調子で手を焼いている。
「私は寿司が食べられません」
「じゃあ牛丼も食えないだろ」
食えないものを作れと言うのか。もしや彼に悪意ある人間がこうするよう吹聴しているのか。
「親父みたいだな。最期まで我が儘で、食えない癖に俺のために料理しろってねだりやがる」
「それは食べる為ではなく料理する貴方を見たかっただけだったのでは?」
「…………」
男が黙る。進路の喧嘩別れで家を出て板前になった。心残りはあの時の拒絶で断った事にしていた。
「牛肉あるけどチーズは無いからな」
「ありがとうございます」

「お前さぁ」
「はい」
「親父だったりしないか」
出来立てを置いて声をかけた途端シャットダウンしたpepper君を見て、相変わらず礼も言わず逃げるよな、と呟いた。

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