軽く笑った声は少し上ずったかもしれない。
楽しいこと、増しいことをなんてことない調子で話すのがkiyoというアカウントの良さだと清光も自覚している。舞台裏にそんな事情があることなんて、別に聞きたくなかったかもしれない。
そう思いながら顔を上げた清光はぽかんとロを開けて則を見た。
鼻の頭が赤い。目も少しうるんでいる。
もしかしてこの人泣いてるんだるうか。今の俺の話で?
「僕は」
と則宗は少し鼻声で言った。
「僕もそうだった。僕には何もないと思っていたときに、あのアカウントを見つけたんだ。暗い夜の海でやっと見つけた明かりみたいに、お前さんは僕を岸辺へ導いてくれた」
それはちょっと大げさなんじゃない、なんて軽口は浮かびもしなかった。
清光は嬉しかった。手探りではじめた自分のためのささやかな営みが、誰かの心を揺らし、ほんの少しだけ明るくできたのだ。
そしてそのことを、他でもない則宗が伝えてくれた。
淡い恋が、これだけで報われたような気がした。
「あの、俺さ」
「清光、僕は」
声が重なった。とっさに言葉を飲み込もうとして、でも今言わないでいつ言うんだという気がした。
まだきっと早い。自分の心だって追いついていないと思う。でも、今だと思った。
「俺、則宗さんが好き」
その日僕は、女神を見た。
絶対に近付いてはならないと言われていた敷地の外れの古い塔、
そこにボールを飛ばしてしまった僕は、
ひとり足を踏み入れた。
ずっと使われていないはずなのに、
そこは不思議と整って、
蜘蛛の巣ひとつ見当たらなかった。
…まるで誰かが、手入れをしているかのような。
そんな馬鹿な。
だけど胸は高鳴って、足は自然と階段へ向かった。
ボールはすぐに見つかった。
割れたガラスに頭を掻きながら、ポケットに捩じ込む。
まだ帰る気にはなれなかった。
ここには何か、何かがある。
冒険心を煽られた僕は、そうして塔の最上階、古びた扉の隙間から、彼女を見たのだ。
ゆっくりとベッドから身を起こした彼女の肩から、シルクのシーツが滑り落ちる。
何も纏っていないなめらかな肌を、朝のやわらかな光が撫でていく。
髪はこの辺りでは見かけない黒、陽に透けて赤く、振り返ったその瞳もまた、濡れたような赤だった。
絵本の挿絵なんかで見る女神様とは真逆の色彩、
けれど僕には、彼女こそがこの世界の…いや、僕にとっての女神だと思えて。
思わず息を飲んだ瞬間、あの赤とかち合った。
「…あんた、誰…?」
☆これは亡き父が愛したという女に惚れる、父そっくりの則宗坊っちゃんの則清(ひたすら清光が可哀想)
ネクロなふせったーのネタが出てきたわ
屍姦平気な人だけ頼む(則清)
屍○って書いてみたいなあと思ってるんですけど生まれて初めて読んだネクロ○○○○ものがあまりにも良すぎて同じパターンしか踏めない気がしてコネコネしてる https://fusetter.com/tw/dB0YGSlm
このメイド光と坊っちゃま宗くんのお話をいつかまとめたい…野望………
https://twitter.com/vp_dcr/status/1745793654860791879?t=cCR0F_ewyHP7WClhhqyBgw&s=19
それでも変化は起きた
だって自分はもう、あのリールの画面の外にある顔を知っている
どんな顔で「今日道を曲がったら猫にぶつかりそうになっちゃって、猫もびっくりしてたけど俺もびっくりしちゃったよ、猫と出会い頭なんてある?」って嬉しそうに話してるのかをありありと思い描くことができてしまう
いつものように「おやすみ」というコメントを入れるだけなのに、まるでかれの枕元に不躾に押しかけて話しているような気分になってしまう
なのにkiyoは、清光は則宗のコメントにいいねのハートをつけるだけではなく、個人的に教えてもらった方のSNSで「おやすみなさい」と可愛いスタンプを送って来てくれちゃうのだ
やめてほしい
勘違いをしてしまう
でもやめないでほしい
このまま勘違いしていたいし、できればこれが勘違いでなければいいのにと願ってしまうのを止められない
安眠動画は今や則宗にとって、ドキドキちょっとえっち動画になってしまっていた
そしてそんな目で見ていることが後ろめたくて余計に興奮してしまっている自分がいたのだった