【高級老舗ホテル•スイート担当客室係は見た】
スイート担当になって早5年、老舗ホテルの最上階にはこの1室しかない。
調度品、内装、アメニティは超一級品、もちろん防音も完璧…なはずなのにこのドアの前に立つと室内から小さくドスンドスンと音が漏れてくる。あーこれはお楽しみですね…軽く虚無に陥りながらも呼び出しブザーを押す。
「お待たせいたしました、ルームサービスです、お食事お持ちいたしました」
インターフォンに出たのは気だるげな若い男の声、軽く息が上がっている、呼吸も深い…あーやっぱりヤってんなぁこりゃ。
何しろスイートだし、金持ち客の色んなアレやそれに対応してきたので、まぁ慣れてはいる、大丈夫。
ガチャと鳴りドアが開く、出てきたのはガタイのいい、えらく顔のいい男。ところどころ古傷と、それにたった今付いたであろう引っ掻かれたような傷が頬に。
なんで身体の傷までわかるかって?そりゃ目の前の男は何も身につけていない、全裸だからだ。しかもフル勃起…あぁでもゴムはちゃんと付けてる、えらいじゃん。
「ああ、ここでいい、中には俺が運ぶ」
「では失礼致します」
奥からは男を呼ぶ低い掠れた声…(察し)
ふむ、これは掃除担当大変そうだなぁ…と思いつつドアを閉める。あーあ、焼きたてのフランスパンなんだけどなぁ…