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『推し、燃ゆ』ネタバレ感想 

『推し、燃ゆ』
女子高生・あかりにとって、唯一の生きがいは、男性アイドルを「推す」こと。彼を「推す」ことに彼女は文字通り生活のすべてを注いでいる。そんなある日、推しのアイドルがファンを殴るという事件が発生し、炎上する。それをきっかけにあかりの生活は徐々に変化していき……、というストーリー。

解説で金原ひとみも指摘しているが、推しを推すことを「背骨」と表現している点がとても面白かった。

> あたしには、みんなが難なくこなせる何気ない生活もままならなくて、その皺寄せにぐちゃぐちゃ苦しんでばかりいる。だけど推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何をおいても明確だった。中心っていうか、背骨かな。

生活能力が低く、学校でもバイト先でも家庭内でもうまくいかないあかりにとって、推しを推すことは生活の中心であるどころか、生活のすべてであった。人生のあらゆる豊かさをそぎ落とし、背骨だけの存在になっていく。
そんな「背骨」があるきっかけでバキバキに折られてしまい、精神の破局を経て迎えるラストシーンは、あかり自身が、それでも生きていかねばならない、できることから少しずつ取り組んで生きていこう、という思いに至るという、絶望の中から生まれた将来への希望を感じた。

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