7ちゃんなんてところに……!
そんな柔らかい所に乗せちゃうなんて
おけさんの増殖ちび妄想
「ななりー」
「ななりー」
「ななりー」
わらわらと私の周りに集まって、好き勝手に動き回る小さい生き物に目を向ける。
水色の髪を編むもの、手に擦り寄るもの、何故か薬指に巻き尺を当てるもの。
皆一様に金の長い髪を一つに結び、赤い瞳を持った姿をしている。そう。よく見知ったどころか、想いが通じ合った好敵手と同じ姿だ。
たまにこの小さい生き物を見かけることはある。見かける度に好きだのなんだの純粋な好意を寄せるため、段々と愛着が湧いてきて可愛く見えてくるのだ。
好きな人の姿、というのも影響しているのだろう。
その小さい生き物はいつも一体だけなのだが、何故だが今日は一匹見かけるとまた一匹見つけ…という具合にどんどん増えていった。
「これ、増殖できたんだ」
どういう経緯で生まれてるのかは定かではないが、彼の姿をしているのだから彼の魔力で象られているのだろう。あいつ、目から光線出す以外の事もできるのか。
漏れ出る魔力がこうも愉快な形で現れるとは、見ていて飽きない男だ。
「君と一緒にしないで」
「うおっ」
本体がやってきてたのか。というか心の声に返事するな。
「口に出てたんだよ。それより…それ、なんで増えてるの?」
それ、と指さしたのは私の周りに纏わりつくチビ達。
生み出した本人が分からないのかよ。
どうあがいても560字に収まらなかったので🧸に置いてきました。
1T67SSの2つ目の話です。
甘さ控えめが丁度いい
一つ、また一つと艶のあるチョコレート菓子が薄い唇の奥に消えていく。
跳ねる心臓を密かに押さえながら、ただその様子をじっと見つめていれば、赤い瞳が不思議そうに私を捉えた。
「どうしたの?」
薪を燃やす火のような穏やかな瞳が何となく見れなくて、視線を逸らしながら今一番知りたかった事を尋ねる。
「……味はどう?」
チョコレート菓子を渡した時は何も言わなかったけれど、聡い彼のことだ。それだけで、そのお菓子の作り主は誰か知れただろう。
「美味しいよ」
とろりと蜂蜜のような甘い声に、彼がどんな顔をしてるのかなんて見なくても分かる。むず痒くなって身動げば、ソファーが軋む音がして長い腕に捕らえられた。
「僕のために作ってくれたんだろう?」
「ち、がうわよ…皆が作れって言ったから…」
「それでも。嬉しいよ」
体を拘束する腕は優しくて、でも振りほどくことは出来ない力強さも感じる。頭上に降り注ぐ楽しそうな声は低く、大層心地良く耳に届いた。
「少し、苦くなったの。あんた甘いの好きだったじゃない」
砂糖の量を間違えたのだと伝えれば、ふうん、と軽く唸った彼は私の顎を掬い上げた。
そっと塞がれた唇が離れると、口に残るのはほろ苦い濃厚な味。やっぱり苦かったなと思う間もなく、甘く蕩けた唇に再び口を塞がれた。#1TSS
雑多に好きなものの話しかしない予定。
アイコンはPicrewのミニ猫メーカーで作ったアルちゃんです。