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おけさんの増殖ちび妄想 

「ななりー」
「ななりー」
「ななりー」
わらわらと私の周りに集まって、好き勝手に動き回る小さい生き物に目を向ける。
水色の髪を編むもの、手に擦り寄るもの、何故か薬指に巻き尺を当てるもの。
皆一様に金の長い髪を一つに結び、赤い瞳を持った姿をしている。そう。よく見知ったどころか、想いが通じ合った好敵手と同じ姿だ。
たまにこの小さい生き物を見かけることはある。見かける度に好きだのなんだの純粋な好意を寄せるため、段々と愛着が湧いてきて可愛く見えてくるのだ。
好きな人の姿、というのも影響しているのだろう。
その小さい生き物はいつも一体だけなのだが、何故だが今日は一匹見かけるとまた一匹見つけ…という具合にどんどん増えていった。
「これ、増殖できたんだ」
どういう経緯で生まれてるのかは定かではないが、彼の姿をしているのだから彼の魔力で象られているのだろう。あいつ、目から光線出す以外の事もできるのか。
漏れ出る魔力がこうも愉快な形で現れるとは、見ていて飽きない男だ。
「君と一緒にしないで」
「うおっ」
本体がやってきてたのか。というか心の声に返事するな。
「口に出てたんだよ。それより…それ、なんで増えてるの?」
それ、と指さしたのは私の周りに纏わりつくチビ達。
生み出した本人が分からないのかよ。

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