もしもドーランで平民と貴族が結婚できたら(6年生編)
「君の髪は青空のようで綺麗だよね」
「真っ赤になってどうしたの?恥ずかしい?」
「拗ねた顔も可愛らしいね」
「なんか毎日口説かれるんだけど!?」
皆の王子様が最終学年になった途端、豹変した。入学してから本を貸してくれたり、怪我を治療してくれたり、助けてくれたりと優しかった『あの』王子様が、である。
恋愛小説のように甘い言葉を囁いて、私を翻弄するという悪癖を出してきた。
「ついに本気を出してきたのね」
「もうそろそろ爪痕を残さないと、だもんね」
相談したのに友ときたらこれである。爪痕ってなんだ。
「どうして私を口説き出したのよ、おかしくない?他の女の子ならいざ知らず」
「逆に聞くけどナナリー、ロックマンが他の子口説いてても平気?」
それは相手の勝手ではないかと、一応想像してみた。
「嫌」
「あら?」
…いや待て自分よ。嫌ってなんだ嫌って!そんな我儘娘みたいに!
「時間の問題かしらね」
「でも放っときましょ。変に拗らせたらややこしいもの」
「そうね」
身もだえる私を放置した友人たちは、今日のお茶は美味しいわと窓を見上げていた。