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世界と7を天秤にかけるなら、で思いついた部分 

どうしていつもこの男はこうなのだ。自分を蔑ろにするのが当たり前で、大事にされないのが当然だと思うのだろう。
ノルウェラ様や公爵様、ゼノン王子だってどれだけ自分を大切にして欲しいと望んでいるのか、そんな思いを知っているのに見ないふりをする。
マリスや、ウェルディさん達だって…実力を信頼してはいるけど、好きな人の身を案じるのは当然のことなのに。
それに私だって。
「あんたからしたら、私は実力不足で頼りないかもしれないけど」
デア・ラブドスをくるりと一つ回して構える。迫りくる魔物の群れを見据え、トンッと地面に棍棒の先を突いた。
「自分の命を大事にしない男を大事にしたいくらいには、あんたのこと好きなのよっ!いい加減分かりなさいよ!馬鹿炎っ!!」
棍棒を中心にして銀色の魔法陣が広がっていく。浄化の光に触れた魔物の体が、砂のように崩れ落ちて数を減らしていく。
速く、速く。この包囲網をこじ開けなければ。治癒魔法が使えない氷の私が、傷を負った彼を救うにはそれしか方法がない。
「踏ん張りなさいよ、ナナリー・ヘル。ロックマンに勝つつもりなら、この程度切り抜けられるでしょ!」
ふらつく足を踏みしめて己を鼓舞する。生憎と私は諦めの悪い人間なのだ。こちらに喧嘩を売った自身を恨むがいい。

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