微睡む碧に手を伸ばして 

「なんだ、ナナリーは寝ているのか」
教室に来た先生は机で熟睡しているナナリーを見て苦笑した。
「一週間ぶりの睡眠だろうから寝かせてやりたい気もするが、もうすぐ授業だからな。ロックマン、起こしてやれ」
どうやらこの昼休み、ナナリーは競技場で透明化した蔓の魔法を成功させたらしい。先日実技でアルウェスがナナリーの腕輪を奪った魔法だ。アルウェスが「せっかく静かなのに」とぼやきながら隣の席に手を伸ばそうとしたその時、ナナリーが顔を上げる。長い睫毛が震えどこかぼんやりとした碧の瞳がアルウェスを映すと、ふわりと幸せそうに微笑んだ。アルウェスが伸ばしかけていた手ごと硬直する。そのまま見守っていると、逆にナナリーがアルウェスの顔に向かって手を伸ばした。
「おいしい……チーズフォンデュ……次はこのプチトマトを……ぐぅ」
そう言いながらナナリーは斜めに机に突っ伏して再び眠ってしまった。俺を含め周囲の人間がアルウェスの金色の髪と赤い瞳を見つめる。今までその色彩を数多の美しい宝飾品などに例えられてきた従兄だが、流石にチーズとプチトマトを連想された経験はなかっただろう。無自覚に男心を弄んだ小悪魔を目の据わった従兄が乱暴に揺り起こすまでに数十秒経過していたことは、指摘しないでおいてやろうと思う。

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微睡む碧に手を伸ばして 

7ちゃん、貴女なんて罪作りな娘なんでしょう……!
至近距離で好きな子の最高の笑顔を食らうなんて青少年には刺激が強すぎますね🤭
寝ぼけてるのにちゃんと認識(色)してるのも最高でした :blobbonethumbsup:

微睡む碧に手を伸ばして 

ありがとうございますー!!!!
朱里さんの素敵なタイトルをいただいて、微睡む7ちゃんに6が手を伸ばして、その碧の瞳が6を捉えたらどうなるかな……と想像してみたら、まさかのチーズフォンデュでした!(タイトル詐欺が決定した瞬間でした)
クラスメートと先生の心境を考えるとものすごく楽しいです🤭

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