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ポールモンキー氏のアフォリズムで思い出したんだけど、よくおすすめ名著として名前があがっている岩波ジュニアの松沢裕作『生きづらい明治社会』を読んだとき、たぶんメンタル崩れてたときに読んだせいもあるんだけれど、明治後期から大正にかけての都市「下層」民に対する作者の目線とかの見下した感じがけっこうつらかったのよな。「通俗道徳」について書かれてる本ね。

その時期の都市下層民は暴動を含むデモをひんぱんに起こしていて、総理がデモによって辞任に追い込まれるなど政府中枢への訴求力も大きかった。しかし筆者によると、そういったデモの参加者は通俗道徳の外にいるようにいて、「あえて」通俗道徳を無視しているだけで、逆に通俗道徳を強化している面もあったという。
正直言ってこのロジックはわかるようでよくわからなかったし、通俗道徳社会での頂点に位置するエリート出の学者の、学問の力によって通俗道徳を打破しようと言う一方での下層民に対する突き放した態度は、読んでいてグロテスクなものを感じた。
もしかしたらアカデミシャンとして誠実な分析と態度だったのかもしれないが、学問もわからん下層民は抵抗したってその実は意味ないぞと言われてるように感じちゃうよね。よくみるデモへの冷笑とかわらないもの。

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