コニー・ウィリス「クロストーク」読了。
架空の現代風のSFラブコメ的な作品。楽しく読めた。
互いの感情を感じ取れるようになるという手術を恋人とペアで受けることになる主人公。技術の詳細については説明もないままなのでSFと言えるかわからないけれど、実際にいそうな親族や職場の面々といった登場人物が生き生きと動くおかげで、細かいことは気にならない。
主人公が人の話を聞かないところや、そのせいかストーリーが思うように進まないところなど、序盤は正直もどかしい思いもあった。
が、同作者の他の長編作品と同じく、このもどかしさがあるからこそ一気に畳み掛けてくる終盤の展開がきっと楽しいのだろう、と予想しつつ読み進める。
予想にたがわず、やはり後半からは一気にストーリーが展開し、ラスト三分の一くらいは一気読み。前半を読むのに数日かかっていたのはご愛敬。
ちなみに、コニー・ウィリス作品のマイベストはやはり「ドゥームズデイ・ブック」。
ただ、そちらはシリアスな話なので、生死に関わったりしない話が良い場合は、本作は楽しく読めてよいかも。
ドゥームズデイ・ブックでも少年コリンが印象的だったけれど、本作も親戚の少女メイヴがいい脇役だった。コニー・ウィリスの描く大人顔負けのたくましい子供たちは、気持ちを明るくしてくれる。
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