京極夏彦の百鬼夜行シリーズ。
昨年発売された十数年ぶりの本編新刊「鵺の碑」を、喜んで発売当初に買った。前作から随分間があいているため、まずは前作までを復習してから、などと思ったのだが、そのまま今に至っている現状からして、どうやら私には復習する余裕はないらしい。余暇の意味でも読書力の意味でも、昔のようなハイペースでは読めないことにやや寂しさも感じつつ、これはもう復習はすっ飛ばして、いきなり新刊を読もうと思うに至る。
ただし、家の本棚を見ると、既刊の中で一冊だけ未読のものがあった。せめてそれだけは読んでから、ということで今回入院中に読んだのが下記。
京極夏彦「百器徒然袋 風」
内容的にも物理的にも何かと重い作品の多いこのシリーズの中では、内容が軽めで読みやすい番外編的な短編集…いや、一作一作がそんなに短くはないので中編集か。なお、物理的重さはそこそこ程度。
本編とは違って出てくる事件にも暗さはあまりなく、むしろ全体にコミカルなので、入院中の気分転換の読書にはちょうどよかった。自分にとっては久々の登場人物たちに、何だかなつかしい思いを持ちつつ読んだ。生き生きと動く変わらないキャラクター達にほっとして、ドタバタ劇にくすっとして、楽しく読めたところで、次は気合い入れて「鵺の碑」にいこうと思う。
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