『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ネタバレ感想1 

前半は、主人公があれこれ実験をしてアストロファージの性質を研究したり、試行錯誤しながら異文化コミュニケーションをしたりするところなどがとても楽しい。

一貫して、主人公が何かを疑問に思ったりトラブルが起こったりして、それを検証しようと実験などを行い、結果を考察して一段階知識を増やすという、ある意味では実験のお手本のようにストーリーが進んでいく。そのため、読んでいる側も、主人公と共に謎が1つずつ目の前で解明されていくような気持ちになれて、爽快感がある。
主人公の思考は現実の物理法則や知識をベースにしているから(アストロファージの特性や異星の技術などの前提面では、少々ぶっ飛んだ設定だなと思うところもあったけれど)、これがこうだからこうなるという因果関係も楽しんでたどることができる。
それでいて同時に、太陽系から飛び出して未知の生命体と意思疎通するという大スケールのわくわくする話も成り立っているのがすごい。

個人的には、魔法が出てこようがわけのわからない未来技術が出てこようが全く平気で楽しく読めるのだが(むしろそれも大好き)、そういうファンタジー設定に馴染めない方でもこれなら楽しめるのではないか。これは確かにサイエンス・フィクションだなと思った。

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『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ネタバレ感想2 

後半にかけても、どんどんテンポよくストーリーが展開していくため、ページをめくる手が止まらない。

とにかくロッキーと主人公のやりとりが良い。
悲しいことや残念なことは「悪い」「悪い」と互いに慰め合うことができ、良いことがあれば「よい」「よい」と共に喜ぶことができる嬉しさ。トラブルがあって落ち込むことがあっても、相談しながらプロジェクトを進められることの心強さ。

主人公の内心の思いは作品内で語られるが、ロッキーの内心にも思いを馳せる。
ロッキーにとって、思いがけず新しい「友だち」ができたことは、いかばかりの喜びだっただろうか。
そして、クライマックスで船体の外から聞こえた「友だち」の声は、それこそどれほどの「しあわせ」だったことだろうか。
身体を弾ませるロッキーを思い浮かべる。

「しあわせ」「しあわせ」と言い合えることの幸せ、「おやすみ」「おやすみ」と言う相手がいることの安堵を噛み締めたい。

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