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スー・タウンゼンド『女王様と私』読了。

よくある感じの作者註が最初にあります。「『女王様と私』はフィクションであり、登場人物…はいずれも作者の想像力の産物であり…」といった、本当に普通の注意書き。
ところが、次のページの「主な登場人物」では、イギリス女王エリザベス二世、フィリップ(エディンバラ公)、チャールズ(皇太子)、その他どう見ても見たことのある名前が並ぶため、前述のただの注意書きが何だか愉快な代物に見えてきます。そんなところからして面白い作品です。

内容は、選挙で共和党政権が樹立され、君主制解体が突然決まったイギリスのお話。
女王様一家は、宮殿から公営住宅に急遽引っ越すことに。一家の中には、馴染んでいく人も、適応できない人もいるのですが…。
「なんでも試してみなければ」と挑戦する女王様。当座のお金のために、役所の窓口に人々と一緒に並ぶ女王様。知り合いになった隣人と、バス代が高いと文句をいい合う女王様。
お話の中のそんな「女王様」はチャーミングでたくましく、したたかなところも見え隠れして、個人的には楽しく読みました。
思いっ切り風刺のきいた作品ですが、端々に女王様への親しみが感じられます。

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