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最近、気に入った映画が興行的にうまくいかないことが続いて悲しい(ザ・フラッシュ、フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン、フォールガイなど)……数字は私の感想と関係ないわけだが、数字が出ないと作り手の次に続かない。いいと思った作品の作り手にはもっと活躍してほしい。
しかし侍タイムスリッパーは数字と私の感想が合っていて嬉しい。賛否分かれているという脚本上の流れも、私はいいと思った。主演の山口馬木也氏、不勉強で知らない役者さんだったのだが、こんな役者さんがいるんだなと感嘆した。序盤の薄暗い、重い感じはまさにこの世の人と違う違和感を感じさせる。宮部みゆきさんの小説で、タイムスリップする人間にはどこか暗くてねっとりしたような独特の感じがある、みたいなことを書かれていたのを思い出した。山口氏演じる主人公が年数を重ねると、少しずつ現代に馴染み、その暗さが薄くなっていく。こういう表現を丁寧にやれるのは、いろいろな事情で撮影期間が数か月に及んだことも関係しているのだろうか。そのへんはわからないが、とにかく見事だと思った。

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