両親が亡くなってみると、人が大切にしていたものや思い出深かったであろうさまざまな有形のものたちは、その人が死ねばすべてゴミになってしまうのだとわかる。他人ではない人々が何を語っていたか、何を愛したか、何を大切に思っていたかを知っているからこそ、主人を失うと、かつて生き生きと存在を主張していたものたちの命も消えてしまうのを感じる。
家もそうだ。住む人のいなくなった家は、最初のうちはまだそこに寝起きしていた人々の気配を残しているけれど、年月を経るにつれてその気配は薄くなり、ただの何も入っていない箱みたいになっていく。
「全部ゴミになるんだ」と思うと、けっこう思い切りよく処分できます、という話。