「片喰と黄金」58話
→続いた。
そして58話。そうしてますます強くなるアメリアと逆の、アメリアにはなれないエズメの視点。
それを自覚した彼が、(世界は君が大好きだから 俺だけは君に救われてやらない)「嫌いだよ」と笑いながら言うシーンには、軽く衝撃を受けた。
主人公だからどんな目にあっても諦めず、強く明るくたくましく、乗り越えて当たり前。みんながそんな彼女に惹かれて集まっても当たり前。どこかやっぱりそういうメタ的な感覚はある。「物語だから」「そういうお話だから」と。
でもこの話は、そういう一線を引いた読者(わたし)の側に、一歩踏み込んできたような感覚があった。
「物語」ではどうしたって主役にはなれない人々。数々の苦難の前に膝を折り、光の当たる場所から去っていく、語る言葉を持たず、語られない、たくさんの人々。そういう人々が、「いた」し、「いる」のだと。
(私は当然その人々の側ですが……!)
やっぱりこの漫画、他とは一味違うかも。