母親は都市部でフェミニストに育てられて、女であることの不利益をあまり受けずに育ったひとなんだよね。少女のまま大人になり、男性にとって魅力的な女性になろうという発想もないまま(なくていいと思うが)結婚して、いわゆる「女を捨てる」みたいなこともなく母親になった。僕の親世代の女性には珍しく四大の理系に進めたひとでもある。「箒にまたがる難産になる」とか「お前もちゃんと嫁いで相手の家のしきたりと先祖を守るんだぞ」とか「女の子は親の近くに住んで奉公しろ」とかそういう封建制(?)呪術世界で育った僕とは全然生い立ちが違うのよね。女も人間の世界と、女は世間体維持&子を産むの道具の世界じゃ女性性に対する感覚はそりゃちゃうわな。
祖母がどれだけ女性であることで非人間的に扱われて、やりたかった勉強も諦めるしかなくて、自分で賃金を得ることも阻まれて夫に抑圧されていたことを母親はわかってない。自分が高校で勉強させてもらえなくて(曾祖母の時代、裁縫をする上女中は下女中よりきつい労働をせずに済んだので高校進学を禁止して洋裁学校に進ませた)、結果的に経済的な自立を阻まれたから、自分の娘には希望する進路に進ませたのに。女にたいする差別があること、それがどういうものなのかきちんと知っていれば、うちの父方の祖父母がどれだけ差別的なことを言っているのか理解して距離を置くこともできたはず。何も考えずにノンポリやってて、いざとなれば夫が守ってくれるから、自分に向けられた差別にも気づかない。