「妻そして母となったことを機にミエーレ・レーダーマン・ユークレス(一九三九 ~)は「メンテナンス・アート宣言」(一九六九)を書き、家庭内の男女別役割という視点から制度批判を展開しました。彼女は労働を「発展」と「維持」に大別し、伝統的に女性が担い手とされてきた家事を後者に位置付けます。そして家事が正当な労働と認知されてこなかったのと同様、美術制度でも「発展」労働が創造的なものとして称揚される一方、「維持」労働が不当に軽視されてきたと主張しました。ユークレスは「メンテナンス」(維持)を「アート」の領域に持ち込むことを「宣言」したのです。  ニューヨークのホイットニー美術館での《私は一日一時間メンテナンス・アートをつくる》(一九七六)で、彼女は館内の清掃や管理を担う作業員に参加を促し、一日の労働時間のうち一時間を芸術制作に割り当ててもらいました。その一時間で作業員がした日常的労働行為は記録され、芸術作品として展示されました。」

—『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル (中公新書)』山本浩貴著
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ここの「維持」労働にあたるようなことは岡﨑乾二郎も著作の中で豆腐を例に出したりしてたまに言及しているのだが、建築物の話にもってったりしてこういう美術活動そのものとしては紹介しなかったなあ 

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パブリックアートもつくるのはいいけど、その後の維持のことはあまり考慮されてないよね

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