すれ違いロクナナ
「…私は大丈夫」
「無理してほしくない。慌てなくていいんだ」
恥ずかしいと全身で発しながらもキスのその先を仄めかす彼女を制した。
彼女のペースで慌てることなく、無理のない範囲で、彼女が脅えてしまわないように。
そうやって固めた決意は、彼女に不安だけを作ってしまったようだった。
斜め上の思考に突飛で恋愛経験もほとんどない彼女だったから。
そうやって決めつけて、彼女の中に育ったものを見ていなかったのかもしれない。
「…ロックマンは私のこの気持ちをまだ恋だって認めてくれてないんだね」
「そういうつもりじゃ…無理させて、君を傷つけることを恐れてるだけだ」
「ねえ、ロックマン。私、あなたのこと、すきよ。私のこれが恋じゃ…愛じゃないって言うなら…私は一生誰も愛せないよ」
救国の魔女にお見合いが殺到した話
「相談なんて、珍しいね」
「マリスに相談したら、あんたの方が適任だって言うし…」
「マリスが?…一体、どんな相談なの」
「これです」
「これって釣書?」
「そう。恩賞の義から届くようになって」
「まぁ、救国の魔女として有名になったし、力も…見た目もあって求婚者は多いだろうね」
「仕事を続けていきたいから、お見合いなんてする気はないの。でも、今後もこれは止まらないだろうから…」
「だろうね」
(代わりに断ってってところか)
「私に相応しそうな人を選んで欲しいの」
「は?」
「?あんたなんで急に不機嫌になってるのよ」
「信じられないことを聞いたような気がして」
「だって、これからも来るならこの中から選びましたって分かれば送ってこなくなるでしょ?」
「頭痛くなってきたよ」
「大丈夫?日を改めましょうか?」
「この中から選ぶよりもっと手っ取り早い方法があるよ」
「えっ、そうなの?」
「僕を選べばいい」
「は?」
好きなものを好きなだけ。よく見えないものが見えてますがそっとしといてください。食べ物と推しの話しかしない。