毒を食らわば❷
入ってきたロックマンにまず違和感を感じた。
生来の気質だと思っていたきらきらしいとまで感じる存在感がなかった。
なんとなく疲れているのか、調子が悪いのかそんな雰囲気である。
入ってきたロックマンはウェルディさんを見つけると仕事の話をしながらハーレの食堂の方へ移動した。
その様子にまたもやハーレの面々が信じられないものを見たように言う。
「あの隊長さんがナナリーに声もかけずに…!」
「先輩、金の王子様と別れたんですか?」
「いや、そもそもお付き合いもしてない!」
そんな話をしてればまたもやハーレの扉が開く。今度は破魔士か依頼人かと受付に向かえば、綺麗な女の人が入ってきた。
貴族女性のような服装のその人はキョロキョロと辺りを見回して食堂の方で視線を止めた。
「アルウェス様!」
駆け出しそうな勢いでそれでいて上品な早歩きで食堂で話していたロックマンとウェルディさんが座るテーブルまで行く。
ウェルディさんの顔が引きつっているのを見て、もしかして、さっきウェルディさんが言っていた女性なのだろうか。
毒を食らわば
その日、ハーレにウェルディさんが来て言った。
「最近、隊長の近くに変な女がいるのよ。ヘルさん、何か知らない?」
なんで私が知ってると思うのかと、思わなくはないが原因は恩賞を義でやってしまったロックマンに対する公開告白である。
あれ以来あらゆる人達に私たちは付き合っていると誤解されることが増えた。
別にそんなつもりはなかったし、ロックマンとは飯食い友達程度である。
私が奴のことを以前とは違い好意を抱いていることについては否定はできないが…
そんな訳で最近は特に会ってもいないことを正直に伝えたのだが…
「確かに最近、隊長さんハーレに来ないわね」
「前は3日と空けずに来ていたのに」
私以外のハーレの面々が反応した。
たしかに以前はハーレへの用事のついでや巡回のついでなんかに立ち寄ってはランチやその日の夜の予定なんての聞かれていたがそれもなく、ご飯も時期が開いている。
「仕事や用事がないからでは?」
「…ヘルさんも知らないなら本当にあの女なんなのよ」
ギリギリと拳を握って苛立ちを隠さないウェルディさんを宥めていたら、ハーレの扉が開く。
こういう噂で表れない男じゃないわけで、入ってきたのは今まさにウェルディさんをヤキモキとさせている張本人であった。
今読みたいロクナナは?
君をここに留めておきたい②
入らないの?と、視線と同じような熱っぽい声が降りてくる。
何だこの雰囲気は?!と混乱する視界でアルウェスの手が扉を開く。
「この扉は僕と君しか開けられないから」
「私?」
「僕にとっては君がいないと意味がないからね」
それではまるで私が宝物と言っているようだと思ったが、きっと宝物の管理をする上で夫人の立場が必要ということだろう。
それならしっかりとアルウェスの宝物を守らなくては。
「わかったわ!」
「うん?」
「私もしっかり宝物を管理するし守るわ!」
「うん、よろしくね」
そう言ってアルウェスはそのまま私を抱き上げた。急な体勢の変化に「きゃっ」とアルウェスの首に抱きつく。
「入ってみようか」
「見せてくれるの?」
アルウェスの宝物を…
「君と入ると完成するんだ」
結局、アルウェスと入った部屋は至ってシンプルな内装に大きな出窓と他の部屋と少し違う作りの飾りや魔導書とは違う様々な本が沢山詰まった本棚、床に直接座っても身体が痛くならないラグ、少しだけ子供部屋?って思えるようなそんなワクワクの詰まったものだった。
君をここに留めておきたい
「この部屋どうしたの?」
お互いの部屋や寝室に近い場所に鍵付きの部屋が出来ていた。ついこの前までは物置にしていた部屋だ。時折、アルウェスは思い立ったように模様替えをする。
ついこの前、私の部屋に小さなキッチン作ったばかりだ。
「僕も君も外に出ると何かと注目されるだろ?」
「うん?」
「この前の夜会も仕立て屋が最高な腕を披露したおかげで、君は綺麗だったから」
「アルウェス、不機嫌だったから気に入らなかったのかと思った」
「とびきり綺麗だったよ。初めの時も言っただろう?」
「でもなんか雰囲気が硬かったもの」
「それは、会場の皆が君を見て視線を奪われていたから…見せるのが勿体なくて…」
「…うん?」
「どんな君も僕だけのものでいて欲しいんだ」
「アルウェスの為に着たのよ?仕立て屋のマダムがこれはアルウェスが喜ぶこと間違いないって言ってくれたもの」
「美しいし可愛らしいし君の魅力をこれでもかってふんだんに見せてくれたよ」
会話は成り立つのに、なんでか理解が出来ない単語ばかりだ。
「この部屋は宝物を詰め込もうと思って」
「宝物?」
「そう。たからもの」
熱を感じる程の視線に私は入らない方がいいのかと思い扉から離れようとしたら私の背に立ったアルウェスが包み込むようにドアノブに手をかけた。
休日の時間のある時には専用のお部屋に連れ込んでひたすら7ちゃんを愛でる撫でる構い倒す。その部屋にはたくさんの本と7ちゃん好みの小物もあるので7ちゃんもお気に入りで、たまには逆に7ちゃんからあの特別な部屋に行きたいって誘ってたらいいね。自分を愛でるための部屋だなんて思いもしないし。その部屋に2人が入ったら使用人たちも近づかない。本当に2人だけのお部屋。
好きなものを好きなだけ。よく見えないものが見えてますがそっとしといてください。食べ物と推しの話しかしない。