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月の国の収穫祭 

十五夜、十三夜が終わった神無月の末にその年の豊穣に感謝する祭りが月の国にはある。
地上の繁栄は月と太陽のおかげというのがこの国のものたちの常識なのでこの祭りでは月姫に感謝を捧げるのが通例だった。
しかし、今年は太陽の君の婿入りもあり、太陽と月がこの国には揃っているので民達の盛り上がりは最高潮となった。
祭壇の上に仲睦まじい様子で座っている太陽の君と月姫たちを民たちは祈りながら感謝しながら今年採れた作物を奉納する。
太陽の君は噂通りの麗しさで、最上の姫と言われた月姫の隣にいても遜色はなく、その太陽のような風貌で、本当に愛おしそうに月姫をその腕に抱いていた。
とある奉納者が月姫に盃を渡し、そこに酒を注いだ。月姫は感謝を述べてその盃を飲み干した。
すると月姫はそのまま眠るように倒れ込んでしまった。太陽の君が抱きとめ鋭い声を上げる。
盃を渡したものは警備のものに取り押さえられながらも、叫ぶ。
「その酒は冥府の酒である。月姫の力で冥府の扉を開くのだ」
「そいつを牢へ。医者を呼べ!」

冥府の扉を閉ざすため、太陽の力を魔力へ変換する役目を持つ月姫。
冥府の食べ物は存在を冥府の所有物への替えてしまう。つまり酒を飲んでしまった月姫は死者になってしまった。

月の国の収穫祭2 

太陽の君の腕の中にいる月姫は先程の幸せそうな表情が嘘のように静かに眠っていたが、抱く太陽の君はその身体から少しずつ体温が失われていっていることにきづいた。
「ナナリー」
呼び掛けるも反応はない。
冥界へ引っ張られる月姫を救うには膨大な太陽の力が必要となる。
しかし、太陽の力を変換する姫は死の淵をさまよっていた。太陽の君は僕が冥界に行き月姫の魂を連れ帰ると冥界の扉へ案内するように月姫の巫女たちへ言う。
扉を開けることはいけませんと言えど聞かず冥界へ降りることになった太陽の君であった。

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