失われたのは美しき思い出
ふと目を開くと。蜂蜜色の神に、深い赤。女神のような風貌の顔があった。
「…女神様…」
「ナナリー、良かった」
ナナリーと言われたのは私のことだろうか?
そこで何も思い出せないことに気づいた。自分のことも寝る前のことも。
「大丈夫?痛みはないかな?」
女神のような風貌の人は声からするに男性でナナリーと呼んで私のことを心配しているようだった。
「えっと…」
「今飲み物を用意させよう」
「ナナリーって私のことですか?」
私の質問に目を見開いて手を止める。
瞬時に痛々しい表情を浮かべた。