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月姫と太陽の君 十三夜 

太陽の君を迎えてからの初めての十三夜。
十五夜で奉納した魔力の礼だと、月神様は月姫に豊穣祈願の加護を授けてくださった。
太陽の力が満ち満ちている月姫の様子に月神様は「世界がよりいっそう豊かで美しくなるな」とにこやかに言った。
一時離れるだけだと言うのに昨夜はこれでもかと注がれた太陽の力は独占欲の塊である太陽の君の牽制そのもので月神は悪戯心を刺激された。
豊穣の加護とは別に、月姫本人にもほんの少しだけ力を注いだ。
もうすぐ満月を迎えるこの歪な日に、たとえ神でも他の男との逢瀬が許せない太陽の君を思って笑った。
月姫はそんな楽しそうな神様の様子に、太陽の君との婚姻が上手く行き月神様もお喜びなのだと解釈したのだが、危機感に関しては少しも育ちはしなかったようで…。
月の寝殿に戻った月姫を玄関口で熱渦巻く体を持て余しながら待っていた太陽の君は、彼女を満たしていた己の力に混ざる不純物を見逃さなかった。
「僕以外の匂いがする」
「え?沢山の香が焚かれていたから…」
「そうじゃない。月神ってのは随分と調子のいい神様のようだね」
「…?」
「早く、ナナリーを僕だけのものにしないと」
「ちょっと外に出てたし湯浴みくらい…」
「僕が洗う」
「ええ?」
「折角たくさん君を僕で満たしたのに最悪だ」

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