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ロクナナ妄想(シリアスでもきっと最後はハッピーエンド) 

「ヘル、君の自由は僕が守る」
だから僕と結婚してください。
そう告げて抱き締めた青空。
彼女はこの世の幸せを集めたような美しい笑みを浮かべた。

やっと憧憬を集めた空に手が届いたと、あの時浮かれた僕を、今はただ殴り飛ばしたくて仕方なかった。

「ただいま。ナナリー」
「おかえりなさい。アルウェス」
愛おしい妻の待つ家へ帰る。
ただいまと言えばおかえりと返される。
しかし、その妻は決して笑わない。
美しい顔に綺麗な笑顔なのに心がないのだ。

始まりは貴族の一員になるのだから、自分も必要な知識を得るべきだと勉強を始めたところからだった。
幼少期から叩き込まれる貴族としての教養は平民のしかも既に成人して来年に結婚式を控えてる花嫁がするものではなかった。
持ち前の器用の良さで次々と知識を吸収していくナナリーだったが、ある時気づいた。
笑わなくなったと。
元々、僕に笑いかけることは少なかったが、笑顔も無いが感情の起伏もない。

それはまるで美しいお人形のようだった。

僕は1番恐れていた過ちを犯したのだ。
彼女の自由な翼を手折った。
彼女から大切なものを奪ってしまった。
それなのにその後悔すら許されない。

「ナナリー、愛してる」
「私もよ、アルウェス」

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