「世界の辺境とハードボイルド室町時代」
高野秀行×清水克行・著
アジアやアフリカの辺境地帯の体験記を書く高野さんと日本中世史の研究者清水さんが、ソマリ人と日本中世を比較する対談本です。
そこに、ソマリには平安時代の詩歌と似た文化かあると書かれていました。
以下、ざっくりと要約です。
ソマリ社会では30年ぐらい前まで、詩の一つも歌えない男は結婚できないって言われてた。イスラム社会なので若者が異性と話すのは難しい、でも放牧中はチャンスで、気に入った女性に近づいて少し離れたところから詩をなげかける。誰もが詩をつくれるわけしゃないから、つくれない人は有名な詩を暗記してつかっていたらしい。
今もソマリにはその文化が残っていて、ソマリ人はソマリポップスの詩をフェイスブックとかに貼ってる。ソマリポップスは、デュエットが多いまったりと長いのが特徴で、高野さん曰く「昔の詩歌の名残で、歌っている間は女の子を引き止められるから長くなったんじゃないかな。」「日本の歌は五七五七七と短くなった。相手に覚えてもらうのと戦略の違いがあるんじゃないかな。」(第二章未来に向かってバックせよ! ソマリと万葉、恋の歌)
→そう思うと、好きな相手にカラオケで恋の歌を歌ったり、恋に限らず素敵な曲の歌詞を引用するのは詩歌文化の遠い残り香なのかもしれませんし、ひとは溢れそうな気持ちを美しい言葉にしたいという衝動を多かれ少なかれもっているのかもなあとか思いました。
「世界の辺境とハードボイルド室町時代」文庫にもなっているので、おすすめです。
#読書 #光る君へ