カイザー・ラインハルト陛下、わしは貴方の才能と器量を高く評価しているつもりだ。孫を持つなら、貴方のような人物を持ちたいものだ。
だが、貴方の臣下にはなれん。
ヤン・ウェンリーも、貴方の友人にはなれるが、やはり臣下にはなれん。他人事だが保証してもよいくらいさ。
なぜなら、偉そうに言わせてもらえば、民主主義とは、「対等の友人をつくる思想」であって、「主従をつくる思想」ではないからだ。
わしはよい友人が欲しいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下も持ちたいとは思わない。
だからこそ、貴方とわしは同じ旗をあおぐことはできなかったのだ。ご厚意には感謝するが、いまさら貴方にこの老体は必要あるまい。
ー アレクサンドル・ビュコック