多分どこかにちゃんと書いてあるけど、リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』の主要登場人物のひとりは明らかに『マザーツリー』の著者で、『オーバーストーリー』でいかに彼女の存在が戯画化されてしまっているかを『マザーツリー』からの比較は教えてくれる。『オーバーストーリー』は樹々と人間社会のメタファー関係を軸にした物語で、意欲は評価できるが結果的に人間も自然界も浅薄にしか描けなかった作品で、好きか嫌いかで言えば嫌いではないが好きとは言えなかった。もっとも『マザーツリー』も手放しで評価することはできない。でもどちらも広く読まれてほしくはある。
オーバーストーリー eBook : リチャード・パワーズ, 木原善彦: Japanese Books http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B07ZQXNLPX/nnbn-22
森林とネットワークというモチーフでは『コルヌトピア』がいいところまで描けていたけれど、これはこれでまたなんというか大変に物足りない気持ちになり、自分に「贅沢は敵だ」と言い聞かせたのを覚えている。
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