『先天盲開眼者の視覚世界』を読んでいる。ある症例では開眼手術から3年経っても円と正三角形の弁別ができない。どうも逐次的に入ってくる視覚情報を一つの図形表彰に統合できていない様だった。その後、長方形が縦長か横長かの弁別を訓練して、視点の探索方法を確立すると少し改善した。また、別の症例では眼を意思通りの方向に動かせず、図形領域の広がりを認知できていない様だったが、台紙や頭を動かすことで運動と感覚の連関から領域の広がりと方向を識別できる様になり、また画像の様に走査の仕方を見え方によってリアルタイムに適応的に変化させられるようになった。こういった訓練によってやがて円と三角形を弁別できる様になったのは非常に興味深く、開眼者は晴眼者が持っている眼球運動の感覚運動連関のモデルを腕と頭の運動で獲得し、これまでの感覚情報に基づいて今度はどこをサンプリングすると知覚を構成できるかという行動の意思決定ができるようになる(適切な探索行動できなければ視覚情報から図形表象を構築できない)。これはFEPのactive inferenceにすごく合致している。また、晴眼者が一瞬で図形表彰できるのが、効率的な眼球運動と視覚の感覚運動連関を獲得しているから少ないサンプリング数で済むからか、単に1サンプルの印象で表象できるからなのか。