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20年ほど前、バンコクの宿屋でバックパッカーの青年と話をしたことがある。世界のどこかに、その街に立った瞬間、「あぁ自分はここに生まれてくるべき人間だったんだ。」と直感してしまう街がある。そう感じたら、とりもなおさずそこに住むべきなんだ。僕はその街を探している。残念ながら、少なくとも、日本には無いんだよ。だから帰らないんだ。

僕は深刻とまでは言わないものの、この社会に、ある程度の「住みづらさ」を感じながら生きてきた。それは同調圧力だったり、ヒエラルキーであったり、過剰な勤労思想だったり。それらをいまいち受け入れづらいままになんとかやり過ごしてきた、という程度の問題だった。そういう中途半端な人間にとっても、「世界のどこかに、ここよりも自分にぴったりな街がある」という神話は、なかなか魅力的に聞こえる。

いやでもお好み焼きも落語もない世界は自分にはちょっと考えられないかなぁ。などと思いつつ、なんとなく旅の支度をするたびにあのバックパッカーの話を思い出して、少しワクワクしてしまう。早くまたいろいろな国に行ければいいなー。

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