思うに「サービス付き高齢者向け住宅」という名称は紛らわしいですね。サービス付きだからあれもこれもしてもらえるはずと錯覚しますが、実質「自立高齢者向け賃貸住宅」に近くて、食事は3食出してくれるし、洗濯や部屋の掃除もしてもらえるけれど、介護は基本オプションだから、自立度の低い高齢者には暮らしづらいという気がします。
今週施設を訪ねてみたら、ケアマネさんの説明と違い、母のリハビリは以前、自宅に通ってくださっていた方とは違う方が担当することになったそうで、母が楽しみにしていただけに、私もかなりがっかり。でも外部サービスを入れることに成功したのは大きな一歩。
改善の見込みのない高齢者にリハビリなど税金の無駄遣いと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、もともと入居者の希望をろくに聞かずに施設内のデイサービスを限度内で目一杯入れられていて、どのみち税金は使っているので、デイサービスの中にひとコマ、リハビリを入れても使う税金がたいして増えるわけではないのです。施設内のデイサービスは塗り絵主体で、去年の入所以来、母はすでに塗り絵帳4、5冊分をこなしました。しかもすべてコピー。介護施設にもいろいろあるのでしょうけど、どうかと思います。
今日から母のなじみの理学療法士さんが施設に来てリハビリしてくれることになっている。外部のサービスを入れることを嫌がる施設で、かといって同等のサービスを提供できるスタッフが施設内にいるわけでもなく、ここまでくるのに時間もかかったし、苦労した。
今よりよくなることは期待していないけど、衰えるスピードを緩やかにして少しでも快適に過ごせるように、できることはさせてほしい。
以下、読後メモです。
セレステ・イングの最新作Our Missing Heartsを仕事で読んで感動し、私としてはかなり熱心にこの作品を推したのですが、通りませんでした。ならばこの作家の過去作品をどこかに売り込めないかと考えていた矢先、長編第1作の邦訳『秘密にし
ていたこと』が出ました。
第1作は、白人が大多数を占める町で暮らす中国系アメリカ人と白人の夫婦および3人の子供たちの生きづらさを5人が交互に語る、50年ほど前のアメリカを舞台とする人種差別がテーマの物語です。長女をじわじわと追い詰めることになる親子間の誤解、それぞれが胸に秘めて語らなかった思いが少しずつ明かされますが、謎が解明されるまでしんどい場面が続きます。
一方、Our Missing Heartsはやはり人種差別をテーマとする家族の物語ですが、こちらは近未来のアメリカを描いたディストピア小説です。アジア系に対するヘイトクライムや図書館や学校での禁書の問題など最新の話題にも触れ、社会に対する憤りが前面に出ています。母親が息子を守るため果敢に行動するところに、第1作にはない救いと希望を感じました。
私が訳せたらとは思いますが、報酬をもらって書いたレジュメをよそに売り込むわけにも行かないし、どこかから邦訳が出ることを願っています。
英日翻訳者。本を読んだり街歩きしたり低山ハイクしたり。
旅好きで、全国47都道府県訪れました。けど、いくつかの県は足跡つけただけ。いつかまたゆっくり訪れたい。
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