『鬼平犯科帳 血闘』観たのだけど、面白かったがこれ一定の年齢より上の娯楽という枠を超えることはなかったなという印象だった。特に女性描写の古さについて、原作がそうだったから時代がそうだったからしょうがない。というのは確かに間違ってはいない。だけど、それじゃあ今は売れない=若い人に響くものにはならないというのをまざまざ見せつけられた感じ。
当時にない現在的かつ大所高所な視点から過去を断罪するようなキャラはそれはそれで嫌いなんだけど、原作や時代に準拠していった結果中高年にしか向かず若い人に訴求できないままだと興行的に伸び悩みもするだろうなと思ってしまった。俳優も若い人に訴求するような人はいなかったし(中村ゆりのおまさは梶芽衣子とは違う儚げな美しさでそこは突出してよかったけど)
鬼平みたいな時代劇が今スクリーンでかかることについての価値は認めるものの、時代劇という娯楽の「若くなさ」を感じてもしまう複雑な鑑賞体験だった。ここで回してる限りいつか閉じていってしまうなという。
いやね自分は鬼平を見に行ったと思えば、当代幸四郎も中々いいじゃないって話で終わりにはできるのよ。息子演じる若い頃も色気あってよかったし。だけど、新時代の時代劇だったかっていうと梅安の方がそこにリーチできてたのは間違いない。鬼平はただキャスト一新しただけの「いつもの」って感じに留まってる。