『墓泥棒と失われた女神』観た
所在なげに浮いている外国人墓泥棒、恋人の影を求め現実と幻想と生と死を曖昧に彷徨う。可笑しみと哀しさ軽やかに混ぜ合わせた現実と幻想の揺らぎに漂ううちに、魂に触れるラストの美しさにやたら感動した。良作。
生と死の曖昧さとか、人が求める現実と精神の揺らぎとかが主題の一つだと思うのだけど、その揺れ続ける存在としてのアーサーを演じたジョシュ・オコナ―が非常に良かった。イタリアの中の浮いた存在の英国人。やさぐれ感をベースに、演技の手数が多いというんですかね、弱さや狡さ、優しさ酷薄さ、色々な表情や雰囲気を出してきてくれて、見ているのがとても楽しい。素晴らしいよ!ジョシュは今、そしてこれから旬の俳優だですよね。
現実と幻想の混ざり具合が軽やかで面白かったけれど、『幸福なラザロ』のゆったりしつつも切れ味がある演出、聖と俗の寓話感の方がやはり好きかな。
列車の場面は全て好きだし、祭りに向かう路地の場面の幻想的な具合がとても良かった。
幸福なラザロでも感じたことだが、イタリアの人々への眼差しに優しいものがありつつ、彼らの気さくさと排他性の落差を見せつける様でもあるのに若干衝撃を受けますね。