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『自由研究には向かない殺人』読了

イギリスの地方都市、女子高校生が学校の自由研究課題として、5年前に自分の住む街で起きた高校生失踪事件の真相を調査する。えげつない突破力!

YA小説らしい軽やかさもありながら、しっかり推理探偵ものとして面白かった。睨んだ通りやはりそうだよねと、そうきたか!があり、特に後半はグイグイ読んだ。

会話から事実と矛盾を洗い出し、仮説の検証は定番の方法から現代らしいものまで。小さな街の関係の狭さがいかにも推理小説らしい舞台であり、そこに学生らしい人間関係にまつわる心の機微と賢さと無鉄砲さもあってスリリング。

清々しいのは、解説にもあったように、主人公ピップの公正さと朗らかさ。自分のヒーローの無実を信じる思いと、容疑者達にすらできるだけ公正でいようとする心。できるだけ、というのに弱さと立派さがあって良いよね。そして、ピップ自身のことも、起きた事件にも、人間の弱さに向きあう姿勢がある。またピップのこの朗らかさによって、課題の相棒ができるのも楽しい。

研究ノート的な文章表記だったり、研究を終えて得たもののまとめスピーチがあったり、課題らしさも面白かった。この距離感の変化はそうなるかな?と思ったところも、そのとおりに納まって、いいね、かわいいね。

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