『ソルトバーン』観た
これ、上流階級・実家が太い人間が放つ屈託のない優しさで、しかし見えない境界線が引かれている悪意のない残酷さもあるやつなのだろうな、これは下流の者の愛憎を煽るよ…と思っていたらやはりそういうお話だったので納得。『太陽がいっぱい』の親戚の様な。その愛憎の苛烈さがバリー・コーガンによって湿度高めでねっとり増幅されてくるの、面白いね。
主人公オリヴァーの上流の同性の友人フェリックスに対する欲望が尋常じゃない、同一化したい域に達しているのが独特で大変面白かったのだけど、やや奇を衒っている印象を受けたのと、オリヴァーの"裏"が見えても、じゃあ彼の強烈な欲望の源泉は一体どこに?と疑問のまま最後まで話が走っていくのが、ふわっとしていたかなと感じた。オリヴァー側の心理スリラーというより、上流の人々はいまこれが怖いんだスリラーに見える気がして。
バリコを最大限堪能できる作品としては、本当に良いですね。今回は裏がある役だったので、彼の心理の動きの詳細は読ませない、でも今確実に情念が発酵している…な演技の上手さが効いているよね。歩き方でも全然違うんだよね。そして今回は何でもやってくれたなぁ。
最後のダンスはね、気持ちがわかる気がした。『帰らない日曜日』を思い出した。
誕生日の鹿角カチューシャなオリヴァーのバリコが、さあさあ!今まさに!暗い情念が胸の内に!渦巻いてるよ〜!な感じで好きな場面ですね。パーティーの中、ひとり居場所なく浮遊している悪魔的な佇まい。怖いけど良い…!
いとこのファーリーがアーチー・マデクウィで歓喜!いいぞ!ファーリーが意外にも、なかなか肝が据わってる子で面白かったですね。嫌な奴だけど。
フェリックスとファーリーの中の人ふたりとも背が高いので目立つ。派手ないとこたち…。バリコとの身長差が味わい深くて良い…