『マエストロ:その音楽と愛と』観た

バーンスタインの芸術面というよりもその人物像、彼と妻フェリシアの愛情の話であったのだが、恐らく意識的にドラマチックにしない、夫婦愛といっても哀愁が漂う愛ある関係の難しさの視線での話で、個人的には面白かった。バーンスタインになりきったブラッドリー・クーパーも大変良かったし、何しろキャリー・マリガンが素晴らしい。言葉にしない感情の表現が好きですね。二人の会話の親密そうなのが(説明しきらない台詞なのもあるが)、観ていて本当に面白いし心地よかった。
バーンスタインなりきりと言えば、メイク、メイクが凄い。本人の顔はきちんと認識していないが、ブラッドリーであってそうでない具合が見事。皮膚の質感も見事すぎて、初アップ時の老けメイクの自然さにちょっと驚く。メイクはカズ・ヒロさんと後で知って納得だった。
一番面白かったのは、技巧を凝らした映像。色々全然詳しくない自分でも、凝りに凝ってる~!とわかる。ショットや画面サイズに質感、白黒とカラーの切り替えなど、上手いんだろうなぁ。映像については特に、本当に観ていて楽しかった。
音楽も詳しくないですが、全編バーンスタインの音楽鳴りっぱなしで知ってる人は耳が楽しいと思われるし、実際素敵だった。

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『マエストロ』他には
指揮シーンは少な目だったと思うし、私は詳しくないけれど、終盤の指揮シーンなんかはブラッドリー・クーパー熱演って感じで素晴らしかったと思う。本人にかなり寄せてるよね?わかる人にはわかるのだろうな。で、そこからフェリシアを流れね。上手いね。

キャリー・マリガンもが良いのは当然なんですが、彼女の怒りの演技が好きなので、今作では感謝祭のシーンがかなり好きです。

指揮者ものとして『TAR』と共通するような行動があって、やはり芸術家はそもそもそういう所があるものなのかなーなどと思う。

ブラッドリー・クーパーは、バーンスタインに共感するところがあって撮ってたのか、それとももうすこし距離のある関心があって撮ったのか、というのも思いますね。表現者と創造者の外向内向の話なんか特にね。

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