『真夜中のカーボーイ』観た
テキサスからニューヨークへ、アメリカンドリームを手にするために来た青年、その手段は男娼。
正義・男らしさ・男性的魅力の象徴としての"カウボーイ"に頑なにこだわる青年が、自由が手に入る街であるはずの大都会の現実に絡めとられ、寂しく何者にもなれず、"カウボーイ"を脱ぎ捨てていく。物悲しさが漂っていて面白かった。
最初と最後のバスの違いよ…ジョーの厚顔で意欲ある表情と心細さと不安全開の表情との差。うう…。乗客の視線も全く違うものに見えているのだろうな。
底辺をうろつくしかできない孤独な二人の、共依存の様な友情が切なくて良かった。上流との圧倒的な差。出会う人々の隠された事情。これがアメリカの現実だという様に。
ジョーの過去が挿入されるけれど追及はされず。想像するに、ものすごいトラウマだよね…そこに親の不在も。それも覆い隠す強い男の"カウボーイ"なのだろう。
ブーツ等を捨てるのがすごいサラっと行われるのがとても良い。いかにも自然な選択の様子が良い。地道に生きようという選択。リコがいたから選んだもの。
映像がアバンギャルドと言ったらいいのかな、独特で面白かった。リコを追う早いカット。情事の際に切り替わるTV。フロリダの夢。