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『ご遺体』イーヴリン・ウォー 読んだ

1948年ハリウッド近郊の霊園で、ペット葬儀社の英国青年、遺体化粧係の女、遺体処理師の男がすったもんだ。死すら商業化する米国の大仰と空疎、追従せざるを得ない英国の愚かさなどを皮肉的ユーモアに。終盤の強烈ブラックな展開にうぉぉ…と唸った。英国人の全方位皮肉はさすがだ。

葬儀がコース制だったり、遺体を良い状態に見せたり、霊園にオブジェがあったりと、今の日本では普通になってる事が描かれているのが面白い。謎美術品などを置いてる霊園あるよね。もちろん作中では軽蔑の視線で書かれているのだけど。そこも含めて共感できるユーモア。

人物や場所のネーミングが面白い。囁きの園、ジョイボーイ、ミスター・スランプ。ミス・タナトジェノス…死の一族ね…運命が決まっていたのか…おぉ…
ラストシーンの辛辣さが本当に強烈。

霊園内の建物がいかに頑丈かの謳い文句で、「高性能爆弾にもびくともしない」のを「核爆弾」にまさに書き換え中である描写があって、この作品が書かれた当時の西洋社会の核の捉え方なんだろうなと、内容とは別に興味深かった。

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