細雪を最後まで読んだ。
幸子がいちいち周囲の言外の意図を汲んで事を進めるため非常に回りくどい。間に人を立てればその分やり取りが面倒になって当然なのに、人を介すること自体が相手への礼儀であり敬意であるということになっており、過剰包装のコミュニケーションが続く。ミルクレープや十二単が重なってこそであるように、この作品もそれ込みで味わうものなんだと思うけど、なんぼなんでも分厚かった。
そのせいか読んだ文字数と得た情報の量が釣り合わない。あれだけいた雪子の対戦相手をほとんど覚えていない。5回戦くらい見たはずなのに。
土地勘のある場所を舞台にした作品を読むのは楽しかった。距離感がわかるのはよい。東京を舞台にした作品を常に雰囲気で読んでいる身としては。