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キム・リゲット『グレイス・イヤー』私向きではなかったけれど一気読みしたくなる面白さだった。

内容は冒頭に『侍女の物語』と『蝿の王』が引用されていることがすべてを物語っています。侍女の物語的社会で人為的に蝿の王的状況に追い込まれる少女たちの話です。
私が自分向きではないと感じたのは、結局女性が子をなすことへの肯定的な価値観が揺らいでいないことと、恋愛と家族の縛りが息苦しく感じたことに起因します。
あの社会でシスヘテロ以外の存在になることは困難だとは思いますし、それでもその規範から外れるキャラクターや血の繋がらない人間で構成された家族の概念が登場することには大きな意義があるとも思いますがなんにせよ恋愛が大きな軸になり、主人公はマジでピンチのときは男性に助けられる構図になっているので(女性も助けを与えるけれどそれはもっと控えめで穏やかなものである)結局窮屈な印象が残ってしまいました。
そのあたりに目をつぶれば、というかまあ上記のこと気にせず読める人は読めると思うので、はらはらしながらページをめくって主人公の行く末を追いかけずにはいられない小説になっていると思います。

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