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児玉真美著『安楽死が合法の国で起こっていること』読了。

スイスの自殺ツーリズムについてはテレビで見たことがあるので知っていたが、本書には、私が知らないことがたくさんあった。

人権と尊厳が尊重されていると私が思っていたカナダでは、安楽死が社会福祉の代替となりつつある。オランダでは、1 歳 未満 の 重病 又は 重度 障害 の ある 子ども には すでに 親 の 意思 決定 により「 安楽死」 が 認め られ て いる。

「医学的無益性」についての議論では、「人間 で ある という こと に 必要 な 特性」を欠く人間を「過去 に 人間 で あっ た」と表現する学者。

安楽死と臓器提供の結びつき。シートベルト の 普及 や 車両 の 安全 性 向上 など により、 交通事故 による 脳死 者 が 激減 し て き た結果、移植用の臓器が不足し続けているから。「もともと 移植 用 に 提供 さ れる 臓器 は「 充足」 する よう な 性格 の もの ではないだろう」という著者の言葉に深く同意する。

テキサス州では、無益 と 判断 し た 治療 は病院 が 患者 サイド に 公式 に 通告 し、 転院 先 を 探す ため 10 日間 の 猶予 を 置い た 後、 転院 先 が 見つから なけれ ば 生命 維持 を 含め て 一方的 に 中止 する こと が 認め られているという。胎児の命も大事だと考えて中絶を認めないテキサス州で、もう「無益」だから、生きなくてもよいとみなされる命もある。

そもそもなぜ「脳死」が「死」と認められるようになったのか。誰かを救命するために誰かの救命を諦めるという行為。安楽死がその積極的な解決策の一つとしてみなされていく世界の潮流。命を大事にしているように見える先進国で、むしろ命が選別されているのではないか。

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