国際スポーツにおけるトランスジェンダー選手に関する議論については、2021年時点の状況が、次のレポートの中で、言及されている。
「トランスジェンダーアスリートと公民権法タイトル 9 をめぐる議論」レファレンス. 845. [2021-5-20]
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11673567_po_084501.pdf?contentNo=1
レポート全体としては、トランプ政権の対応を中心に、米国での状況を論じたもの。関連する国際動向として、オリンピックやワールドラグビー等における議論と、2021年時点での対応が紹介されている。
いずれにしても、この時点で既に、様々な観点からの議論や、合意形成の取組がなされてきたことはわかるので、この問題について語る際の、参考になるのではないかと。
当該レポートを読んでいると、それにしても、スポーツは「男女差」が問題になりやすい領域だなあ、と痛感(日本でも高校野球なんかを見れば露骨に分かることではあるけど)。
それでも、包摂と公正の問題が議論され、少なくとも全体としてはトランスジェンダーアスリートの参加を可能にする方向で議論や基準は整備されてきていて(特に、トランス男性への規制はほぼなくなってきている様子)、その議論の中で、基準としてテストステロン値が重視されるようになってきている(ただし、研究はまだ十分ではない面もあるかも)、という感じかと。
性自認ではなく、テストステロン値で区分けする、という提案もあるそうで、それはなかなか面白いと思ったり。一方で、競技によって、その公正性を確保する基準は異なる、という指摘もその通りかと思う(乗馬とか、既に男女関係ないし)。
レポート自体は米国の問題を主としているため、トランスアスリート排除は、米国においては、トランプ政権や共和党により進められてきた、極めて党派的な問題であることも指摘されている。
@minzimt ご指摘の通りで、何らかの物質をマーカーにして基準を設定すると、有利になるように数値を操作しようとする試みは何かしら出てくると思います。
そこが単一マーカーによる基準の弱点ですよね。防ぐための仕組みを作るとしても、複雑化しそうです。
男女別の枠組みを解体する提案としては、テストステロン値で一元化する、というのは、面白い話だと思うのですが、実際に運用しようとすると色々課題がありそうです。
ちなみに、今のところは、テストステロン値は、トランスジェンダーアスリートに限定した基準の一部として、他の要素との組み合わせでの判断になっているようですので、心配されるようなことは起こりにくいようになっているかと思います。