邪魅の雫/京極夏彦
再読~。
事件自体が非常にシンプル(謎解きというよりもどう調査するよって部分に重きが置かれているので)、かつ視点役の都合上文章が酩酊することもほとんどないので改めて読むとまず全体のあっさりっぷりというか、読みやすさにびっくりしてしまいました。今回電書版で厚さをリアルに感じなかったことも含めてあれっこんなもん!?って感じ。
実質上のシリーズ最終作の状態だと妖怪うんちく含めていつものらしさが全然ないのでどうしても据わりの悪さが拭えないんだけど、本編時間軸が先に進むことが確定した今読むと、メイン4人がある程度遠景に回った分、事実上の主人公である益田・青木の若手組の葛藤(と成長)が繊細に描写されていて中々興味深かったです。
本庁と県警と公安の軋轢とか、榎木津の縁戚関係のしがらみとか、妙に地に足着いちゃってる雰囲気がまあやっぱりいつもの本編らしくないというかぶっちゃけ長編版百器徒然って感じなんだけど(言っちゃった)、でも全体に漂う淡々とした空気、好みなんだよな~。高い倫理観と正義感で捜査に臨む警察の皆さんの描写も良かったです。皆頑張ってるんだ……。
犯人・探偵・聞き役で物語が閉じないところが妖怪シリーズの好きな所だなって改めて思いました。鵼、楽しみだ~!!